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AUM(受託資産)100億円までが一番

近年相場をにぎわしているのはソフトアクティビストファンド。


過去の記事にも書いた通り、彼らの運用成績は非常に好調だ。


30%、40%は当たり前で、アベノミクスには恩恵にあやかり100%を超えるファンドもあった。


中小型株ブームといっていい市場のおける風潮は2000年に入って見受けられ、
ヘッジファンドという存在が日本市場でもにわかに存在感を増した。


日本のヘッジファンドとして業界紙にたまに取り上げられるアキトキャピタルのアセットは、
現在1200億ほどと聞いている。

立ち上げ当時の手法は、ロングショートを中心にしながらも、
イベントトリブンやグローバルマクロ、またはオプションなどだった。


運用成績は定かではないが、相場環境も手伝い彼らのファンドは2012年には10倍近くアセットが増え200億近くになった。

その後、カナダの年金基金からの受託があり1000億を超え本格的なファンドに成長した。

現在の手法はどうかといえば、選ぶ銘柄は変わりロングがメインとなった。




アセットの小さかったかつてと今で手法に違いがあって当然だ。

ではそれはなぜなのか。



何兆円単位の資金を運用する大手の機関投資家では、時価総額が1000億満たない銘柄はまず買えない。

話がややこしいからアキトを例にとり1200億だとして24銘柄で50億ずつ分散投資をしたとしよう。

その際に100億円程度の時価総額の銘柄を買ってしまうと、5%を下手すると超えてしまい
大量保有報告書を出す羽目になる。この時点でファンドは手の内が明かされ投資行動に余計なバイアスがかかることになる。


年金基金や企業基金の目標利回りが4%であるのは、確実なリターン最優先であることと、その膨れた資産がゆえである。

数千億のファンドでは小型株を扱うことは、利回りを出せないからありえない。
仮に10億の小型株で倍になったとして、10億円の利益をファンドにもちこんでも、
アセットが3000億の場合利回りは0.03%だ。なんの評価にもならない。

さらに言えば、割安に放置されている小型株に手を出してしまうと、
マジョリティ(51%以上)取得してしまうことになりかねない。
そうなれば会社の実質支配することになり、ファンドとしての活動に支障をきたすことになる。

株価が上がっても出来高が少ないため簡単に市場で売却ができない。
できたところでファンドのボリュームから言ってリターンは微々たるものになる。
そのような事情から小型株というのはマーケットの中心から外されてきた。
事実業界的に言えば3000億のファンドは小さいという扱いになる。

しかし逆に100億円までのファンドにとっては、中小型株を狙うのは非常に効率がよく条件もいい。
まずファンド自体の資金を有効に活用しきることができ、かつ、財務内容が良く割安な場合なら
保有していてもいいし売却するなら積極的に市場に働きかけることも可能だ。

この延長にアクティビストファンドが生まれた。

本来割安に放置されたままの「買い」銘柄。
ファンドなら誰しもすぐに飛びつきたい状態でしかし放置されているのは、
大手ファンドが大きすぎるからである。

そこを狙ってアセットがまだ大きくないファンドが台頭してきた。
年間で100%以上のリターンがでるのは、そのようなからくりがあって、理屈がわかれば何も不思議なことない。

ヘッジファンドもまずは100億円でまずはスタート地点といえるだろう。





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テーマ:資産運用について - ジャンル:株式・投資・マネー

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KENY

Author:KENY
外資系ヘッジファンドマネージャー

香港(2003~2006)
➾スイス(2007~2009)
➾NY(2010~2011)
➾香港(2012~現在に至る) 

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